電気亜鉛メッキ

電気亜鉛メッキとは、鉄や鋼などの表面に、電気の力を使って亜鉛の皮膜を形成する表面処理です。
防錆を目的とした処理として非常に広く使われており、ボルト、ナット、小ねじ、座金、ピンなどの締結部品をはじめ、金具類や各種機械部品にも採用されています。
締結用部品については、JIS B 1044 が鋼製または銅合金製の電気めっき締結用部品を対象に、皮膜厚さや寸法要求事項、水素ぜい化除去への推奨を定めており、電気めっきがねじ部品の実務で重要な処理であることがわかります。

電気亜鉛メッキの大きな特長は、亜鉛の防食作用を利用して、下地の鉄をさびにくくできることです。
亜鉛めっきの防食機構には、表面にできる緻密な皮膜による保護皮膜作用と、傷が付いた場合に亜鉛が先に反応して鉄の腐食を抑える犠牲防食作用があります。
つまり、単に表面を覆うだけでなく、傷が入ったときにも鉄を守りやすいのが亜鉛めっきの強みです。
電気亜鉛メッキもこの性質を活かした処理であり、一般的な使用環境で実用的な防錆性を得やすい方法といえます。

溶融亜鉛メッキとの違いは、処理方法と用途の向き不向きにあります。
溶融亜鉛メッキは高温で溶かした亜鉛に部材を浸して厚い皮膜をつくる方法ですが、電気亜鉛メッキは電気的に亜鉛を析出させるため、締結部品のような小物や、寸法管理が重要な部品に使いやすいのが特長です。
実際、JIS B 1044 ではねじ部品の寸法要求事項を含めて規定されており、電気亜鉛メッキが精度を意識する締結部品と相性のよい処理であることが読み取れます。

実務では、電気亜鉛メッキの上にクロメート処理や三価クロメート処理を組み合わせることが多く、これによって白さびの発生を抑えたり、外観を整えたりします。
いわゆるユニクロメッキも、この電気亜鉛メッキを下地にした処理として扱われることが一般的です。
ねじ類で「防錆付きの標準品」として流通している多くの製品は、この系統の表面処理が採用されています。

一方で、電気亜鉛メッキは万能ではありません。
屋外で長期間雨風にさらされる場所、海沿い、薬品雰囲気、高湿度環境などでは、より厚い皮膜を持つ溶融亜鉛メッキや、別の防食処理のほうが適する場合があります。
また、JIS B 1044 でも高強度または高硬さの締結部品、表面硬化処理された部品については、水素ぜい化除去への推奨が示されており、高強度品ではめっき後の管理も重要になります。

選定時には、屋内か屋外か、必要な防錆性、部品の寸法精度、外観、後処理の種類を確認することが大切です。
電気亜鉛メッキは、コスト、防錆性、寸法管理のバランスが良く、ねじや金具の標準的な防錆処理として非常に実用性の高い方法です。
用途に合った後処理まで含めて選ぶことで、部品の寿命や信頼性を高めやすくなります。

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